2.1. 流れ図

1. 概要

 アルゴリズムは、特定の問題を解決するための手順や処理の順序を定義するものであり、情報処理技術者試験において非常に重要なトピックです。アルゴリズムの理解を深めるために、視覚的にその手順を表現する「流れ図(フローチャート)」は欠かせません。流れ図を使用することで、処理の流れを直感的に把握でき、複雑なプロセスを簡潔に表現することができます。

 流れ図は、アルゴリズムを図として表現し、端子、処理、定義済み処理、判断、ループ端、データ、線といった記号を使って、処理手順を視覚的に示します。これにより、プログラムを設計する際のミスを減らし、誰でも理解しやすい形で情報を伝えることが可能となります。

2. 詳細説明

 流れ図は、アルゴリズムを視覚的に表現するために使用されるツールであり、次のような基本記号を使用します:

  • 端子(Terminal): 流れ図の開始と終了を示す楕円形の記号です。
  • 処理(Process): データの操作や計算などの処理を示す長方形の記号です。
  • 定義済み処理(Predefined Process): サブルーチンや他の場所で定義された処理を示す二重の長方形です。
  • 判断(Decision): 条件分岐を示す菱形の記号で、Yes/NoやTrue/Falseの2つの分岐を持ちます。
  • ループ端(Loop Terminal): ループ処理の開始または終了を示す特別な記号です。
  • データ(Data): データの入力や出力を示す平行四辺形の記号です。
  • 線(Line): 各記号を接続し、処理の流れを示す矢印線です。

 例えば、ある数値が偶数か奇数かを判定するアルゴリズムを流れ図で表す場合、次のようになります:

  1. 端子(開始)→
  2. データ(数値の入力)→
  3. 処理(数値を2で割る)→
  4. 判断(割り切れるかどうか)→
  5. Yesの場合:処理(偶数であることを表示)→
  6. Noの場合:処理(奇数であることを表示)→
  7. 端子(終了)

 このように、流れ図はアルゴリズムの各ステップを明確にし、視覚的に処理の流れを示すことで、プログラムの設計や理解を容易にします。

3. 応用例

 流れ図は、システム設計やプログラム開発の初期段階でよく使用されます。例えば、企業の業務プロセスを可視化し、改善点を見つけるために用いられることがあります。製造業における工程管理や、ソフトウェア開発におけるバグの原因追跡にも流れ図は効果的です。

 さらに、流れ図はプログラミング教育においても重要です。初心者にアルゴリズムの概念を教える際、流れ図を使うことで抽象的な考え方を具体的に理解させることができます。これにより、プログラムの構造を視覚的に学習することができ、コーディングの前段階として非常に有用です。

4. 例題

例題1:

 次のアルゴリズムを流れ図で表現してください。

  • 2つの数値を入力し、その和を計算して表示する。

回答例:

  1. 端子(開始)→
  2. データ(2つの数値の入力)→
  3. 処理(和を計算)→
  4. データ(結果を表示)→
  5. 端子(終了)

例題2:

 次のアルゴリズムを流れ図で表現してください。

  • ユーザーに「1〜10の間の数」を入力させ、その数が5より大きい場合「大きい」と表示し、小さい場合「小さい」と表示する。

回答例:

  1. 端子(開始)→
  2. データ(数値の入力)→
  3. 判断(5より大きいか?)→
  4. Yesの場合:処理(「大きい」を表示)→
  5. Noの場合:処理(「小さい」を表示)→
  6. 端子(終了)

5. まとめ

 流れ図は、アルゴリズムを視覚的に表現するための強力なツールです。端子、処理、定義済み処理、判断、ループ端、データ、線などの記号を使用して、処理の順次、判断、繰り返しといった手順を明確に示します。流れ図を利用することで、アルゴリズムの理解が深まり、プログラムの設計がより効率的になります。練習問題を通じて、流れ図の描き方を習得し、実際の業務や学習に応用していきましょう。