2.3. ネットワーク接続

1. 概要

 ネットワーク接続は、現代の情報システムにおいて不可欠な要素です。LAN(Local Area Network)内の接続、異なるLAN間の接続、そしてLANとWAN(Wide Area Network)の接続を実現するための様々な装置が存在します。これらの装置は、OSI基本参照モデルの異なる層で動作し、それぞれ特徴的な機能を持っています。本記事では、これらの装置の種類、特徴、および機能について詳しく解説し、OSI基本参照モデルとの関連性を明らかにします。

2. 詳細説明

2.1. LAN内接続装置

2.1.1. リピータ

 リピータは、OSI基本参照モデルの第1層(物理層)で動作する装置です。主な機能は、信号の増幅と再生成で、ネットワークの物理的な範囲を拡張します。

2.1.2. ハブ

 ハブもOSI基本参照モデルの第1層で動作します。複数のネットワーク機器を接続し、データの中継を行います。ハブには以下の種類があります:

  • リピータハブ:単純な信号の中継を行う
  • スイッチングハブ(L2スイッチ):データの宛先に応じて転送先を選択する(第2層で動作)

2.1.3. ブリッジ

 ブリッジは、OSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作します。LANセグメント間のデータ転送を制御し、不要なトラフィックを遮断する機能を持ちます。

2.2. LAN間接続装置

2.2.1. L2スイッチ

 L2スイッチは、OSI基本参照モデルの第2層で動作し、MACアドレスに基づいてフレームの転送を行います。L2スイッチは効率的なデータ転送を実現し、LAN内の通信を最適化します。

2.2.2. L3スイッチ

 L3スイッチは、OSI基本参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作し、IPアドレスに基づいてパケットの転送を行います。ルーティング機能を持ち、高速でネットワーク層のデータ転送を実現します。L3スイッチはルータと異なり、高速なデータ転送と低遅延のネットワークパフォーマンスを提供します。

2.2.3. ルータ

 ルータは、OSI基本参照モデルの第3層で動作し、異なるネットワーク間でのデータの経路選択と転送を行います。主にインターネットやWAN接続の際に使用され、ネットワーク全体のパス最適化とデータルーティングを担当します。

2.3. LAN-WAN接続装置

2.3.1. ゲートウェイ

 ゲートウェイは、OSI基本参照モデルの複数の層で動作し、異なるプロトコル間の変換を行います。例えば、IPv4とIPv6の変換や、LANとWAN間の接続など、異なる種類のネットワークを接続する際に使用されます。

2.3.2. プロキシサーバ

 プロキシサーバは、主にOSI基本参照モデルの第7層(アプリケーション層)で動作し、クライアントの代理としてサーバとの通信を行います。プロキシサーバは、キャッシュ機能を通じてネットワークパフォーマンスの最適化やセキュリティ向上を実現します。

2.3.3. 回線接続装置

 回線接続装置は、LANをWANに接続するための装置で、モデムやルータなどが含まれます。これらは主に第1層から第3層で動作し、ネットワークの物理的および論理的な接続を実現します。

3. 応用例

3.1. カスケード接続

 カスケード接続は、複数のL2スイッチを直列に接続して、ネットワークを拡張する方法です。これにより、接続可能な機器の数を増やし、柔軟なネットワーク構成が可能となります。

3.2. スパニングツリー

 スパニングツリープロトコル(STP)は、ネットワーク内のループを防ぐために使用されます。複数のスイッチが接続された環境で、最適な経路を自動的に選択し、冗長性を確保しつつループを回避します。

4. 例題

例題1

Q: リピータ、ハブ、ブリッジがそれぞれOSI基本参照モデルのどの層で動作するか答えなさい。

A:

  • リピータ:第1層(物理層)
  • ハブ:第1層(物理層)
  • ブリッジ:第2層(データリンク層)

例題2

Q: L2スイッチとL3スイッチの主な違いを説明しなさい。

A: L2スイッチはOSI基本参照モデルの第2層(データリンク層)で動作し、MACアドレスに基づいてフレームの転送を行います。一方、L3スイッチは第3層(ネットワーク層)で動作し、IPアドレスに基づいてパケットの転送を行い、ルーティング機能も持ちます。

例題3

Q: プロキシサーバの主な機能と、OSI基本参照モデルのどの層で動作するかを答えなさい。

A: プロキシサーバの主な機能は、クライアントの代理としてサーバとの通信を行うことです。これにより、セキュリティの向上やネットワークパフォーマンスの最適化が可能になります。プロキシサーバは主にOSI基本参照モデルの第7層(アプリケーション層)で動作します。

5. まとめ

 本記事では、LAN内接続、LAN間接続、LAN-WAN接続に使用される様々な装置について解説しました。これらの装置は、OSI基本参照モデルの異なる層で動作し、それぞれ特徴的な機能を持っています。

  • 第1層(物理層):リピータ、ハブ
  • 第2層(データリンク層):ブリッジ、L2スイッチ
  • 第3層(ネットワーク層):L3スイッチ、ルータ
  • 複数層:ゲートウェイ
  • 第7層(アプリケーション層):プロキシサーバ  これらの装置の特徴と機能を理解することは、効率的で安全なネットワーク設計と運用に不可欠です。また、カスケード接続やスパニングツリーなどの技術を適切に活用することで、ネットワークの拡張性と信頼性を向上させることができます。