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テクノロジ系
C. 技術要素
Ⅹ. ネットワーク
1. ネットワーク方式

1.3. 有線LAN

1. 概要

　有線LAN（Local Area Network）は、物理的な配線を使用してコンピュータやネットワーク機器を接続する通信ネットワークです。企業や家庭など、限られた地理的範囲内で高速かつ安定したデータ通信を行うために広く使用されています。有線LANはセキュリティ面でも優れており、多くの組織にとって重要な通信インフラストラクチャとなっています。

2. 詳細説明

2.1 有線LANの構成要素

　有線LANは以下の主要な構成要素から成り立っています：

  1. ネットワークインターフェースカード（NIC）
  2. ケーブル（同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、光ファイバケーブル）
  3. スイッチなどの集線装置
  4. ルーター 　スイッチは、ネットワーク内のデータを効率的に転送するための重要な機器です。各デバイスのMACアドレスを学習し、データを必要な宛先にのみ送信することで、ネットワークの効率とセキュリティを向上させます。従来使用されていたハブは、データをすべてのポートに送信するため、現在ではほとんど使用されていません。

2.2 ケーブルの種類と特徴

2.2.1 同軸ケーブル

　同軸ケーブルは、中心の導体を絶縁体で覆い、その外側を編組シールドで包んだ構造を持つケーブルです。以下の特徴があります：

  • 電磁干渉に強い
  • 比較的長距離の通信が可能
  • 現在のLANではほとんど使用されていない

2.2.2 ツイストペアケーブル（より対線）

　ツイストペアケーブル（より対線）は、絶縁された2本の銅線をより合わせた構造を持つケーブルです。以下の特徴があります：

  • UTP（Unshielded Twisted Pair）とSTP（Shielded Twisted Pair）の2種類がある
  • 比較的安価で取り扱いが容易
  • 現在のLANで最も一般的に使用されている

2.2.3 光ファイバケーブル

　光ファイバケーブルは、ガラスやプラスチック製の細い繊維を用いて光信号を伝送するケーブルです。以下の特徴があります：

  • 高速で長距離の通信が可能
  • 電磁干渉の影響を受けない
  • セキュリティ性が高い
  • 他のケーブルと比べて高価

2.3 有線LANの通信方式

　有線LANでは主に以下の通信方式が使用されています：

  1. イーサネット（Ethernet） 　イーサネットは、現在最も一般的に使用されている有線LANの通信方式で、高速で信頼性の高いデータ通信を実現します。
  2. トークンリング 　トークンリングは、IBMが開発した通信方式で、一時期は利用されていましたが、現在ではほとんど使用されていません。イーサネットが事実上の標準となっています。

3. 応用例

　有線LANは様々な場面で応用されています：

  1. オフィスネットワーク：企業内での情報共有や業務システムの利用
  2. データセンター：サーバー間の高速通信
  3. 工場の制御システム：生産ラインの制御や監視
  4. 家庭内ネットワーク：高速インターネット接続や家電の制御
  5. IoTデバイスの接続：センサーやデバイスの安定した通信
  6. 監視カメラシステム：高解像度映像のリアルタイム伝送

4. セキュリティについて

　有線LANは無線LANと比較してセキュリティ性が高いとされています。物理的なアクセスが必要なため、外部からの不正アクセスやデータの盗聴のリスクが低減されます。しかし、物理的な盗聴や内部からの攻撃のリスクは依然として存在します。そのため、物理的なセキュリティ対策やネットワーク機器の適切な管理が重要です。

5. 例題

例題1

問題：有線LANで使用されるケーブルの種類を3つ挙げ、それぞれの特徴を簡潔に説明してください。

回答例：

  1. 同軸ケーブル：電磁干渉に強く、比較的長距離の通信が可能だが、現在のLANではほとんど使用されていない。
  2. ツイストペアケーブル：安価で取り扱いが容易であり、現在のLANで最も一般的に使用されている。UTPとSTPの2種類がある。
  3. 光ファイバケーブル：高速で長距離の通信が可能で、電磁干渉の影響を受けないが、他のケーブルと比べて高価である。

例題2

問題：有線LANの利点を2つ挙げ、それぞれについて簡潔に説明してください。

回答例：

  1. 安定性：物理的な接続を使用するため、無線LANと比較して接続が安定しており、干渉を受けにくい。
  2. セキュリティ：物理的なアクセスが必要なため、無線LANと比較してセキュリティが高い。ただし、物理的な盗聴や内部からの攻撃への対策も重要である。

6. まとめ

　有線LANは、物理的な配線を使用してコンピュータやネットワーク機器を接続する通信ネットワークです。主な構成要素は、ネットワークインターフェースカード、ケーブル（同軸ケーブル、ツイストペアケーブル、光ファイバケーブル）、集線装置（スイッチ）、ルーターです。有線LANは高速で安定した通信を提供し、セキュリティ面でも優れているため、多くの組織にとって重要な通信インフラストラクチャとなっています。

　通信方式としてはイーサネットが事実上の標準となっており、オフィス、データセンター、工場、家庭、IoTデバイスの接続など様々な場面で応用されています。物理的なセキュリティ対策も含めた総合的なセキュリティが求められます。