2.4. アクセス方式

1. 概要

 メモリインターリーブ方式は、主記憶装置のアクセス速度を向上させるための重要な技術です。この方式は、複数のメモリバンクを並列に動作させることで、メモリへのアクセス時間を短縮し、システム全体の性能を向上させます。応用情報処理技術者試験では、コンピュータシステムの性能向上技術として、この方式の理解が求められます。

2. 詳細説明

2.1. メモリインターリーブの基本原理

 メモリインターリーブ方式は、主記憶装置を複数のバンクに分割し、これらを並列に動作させることで、連続したメモリアクセスを高速化します。各バンクは独立して動作し、一つのバンクがアクセス中でも、他のバンクは次のアクセスの準備ができるため、全体としてのアクセス時間が短縮されます。

2.2. インターリーブの度数

 インターリーブの度数は、並列に動作するバンクの数を表します。例えば、4ウェイインターリーブは、4つのバンクが並列に動作することを意味します。度数が高いほど、理論上のアクセス速度は向上しますが、ハードウェアの複雑さも増加します。

2.3. アドレス割り当て

 メモリインターリーブでは、連続したアドレスを異なるバンクに割り当てます。例えば、4ウェイインターリーブの場合、アドレス0はバンク0、アドレス1はバンク1、アドレス2はバンク2、アドレス3はバンク3に割り当てられ、アドレス4は再びバンク0に割り当てられるという具合です。

3. 応用例

3.1. 高性能コンピュータシステム

 スーパーコンピュータや大規模サーバーシステムでは、メモリインターリーブ方式が広く採用されています。これにより、大量のデータを高速に処理することが可能となり、科学技術計算や大規模データベース処理などの分野で高い性能を発揮しています。

3.2. マルチコアプロセッサ

 現代のマルチコアプロセッサシステムでは、各コアが同時にメモリにアクセスする必要があります。メモリインターリーブ方式を採用することで、複数のコアからの同時アクセスを効率的に処理し、システム全体の性能を向上させることができます。

4. 例題

例題1:

4ウェイインターリーブのメモリシステムがあります。メモリアクセス時間が120ナノ秒の場合、4つの連続したアドレスへのアクセスにかかる時間を求めてください。

回答例:
 4ウェイインターリーブでは、4つの連続したアドレスは異なるバンクに割り当てられます。最初のアクセスに120ナノ秒かかりますが、その後の3つのアクセスは並列に行われるため、追加の時間はかかりません。したがって、合計時間は120ナノ秒となります。

例題2:

8ウェイインターリーブのメモリシステムがあります。1回のメモリアクセスに100ナノ秒かかる場合、16個の連続したアドレスへのアクセスにかかる時間を求めてください。

回答例:
 8ウェイインターリーブでは、8つのアドレスごとに新しいサイクルが始まります。16個のアドレスは2サイクルに分かれます。
 1サイクル目: 100ナノ秒
 2サイクル目: 100ナノ秒
 合計時間: 100 + 100 = 200ナノ秒

5. まとめ

 メモリインターリーブ方式は、主記憶装置を複数のバンクに分割し、並列アクセスを可能にすることで、メモリアクセスの高速化を実現します。この技術は、高性能コンピュータシステムやマルチコアプロセッサなど、現代のコンピュータアーキテクチャにおいて重要な役割を果たしています。情報処理技術者は、メモリインターリーブの基本原理、度数、アドレス割り当ての方法、および性能向上効果について理解を深めることが重要です。