「プロセッサ」における目標
プロセッサにおける目標は、次の4つになっています。
- コンピュータの種類,構成を修得し,応用する。
- プロセッサの種類,アーキテクチャ,構造,方式,動作原理を修得し,応用する。
- プロセッサの性能を表す指標を修得し,応用する。
- プロセッサの高速化技術,高信頼化技術を修得し,応用する。
それぞれの基礎を習得した上で、応用できるよう学習をすすめていきます。
1.1. コンピュータの種類
パーソナルコンピュータ(PC),ワークステーション,スーパーコンピュータなどの特徴,用途を理解する。
デスクトップPC,ノートPC,サーバ,携帯端末(スマートフォン,タブレット端末ほか),汎用コンピュータ,制御用コンピュータ,マイクロコンピュータ,量子コンピュータ(量子ゲート型,量子アニーリング型)
1.2. コンピュータの構成
コンピュータが五つの装置から構成されること,装置間の制御の流れ,データの流れを理解する。
演算装置,制御装置,記憶装置,入力装置,出力装置
1.3. プロセッサの種類
プロセッサの種類,それぞれの特徴,用途を理解する。
CPU,GPU,DSP,FPU,GPGPU,AI チップ
1.4. プロセッサのアーキテクチャ
1.4.1. データ処理の単位
プロセッサのアーキテクチャによって,プロセッサが1 命令で処理するデータサイズに違いがあることを理解する。
ビット,キャラクター,バイト,ワード,量子ビット(Quantum bit)
1.4.2. 命令形式
1命令で処理するオペランドの数で命令の形式を分類できることを理解する。
1オペランド形式,2オペランド形式
1.4.3. 命令セット
プロセッサのアーキテクチャによって命令セットに違いがあること,プロセッサアーキ テクチャとしてはRISC とCISC があることを理解する。
固定長命令,可変長命令
1.5. プロセッサの構造と方式
プロセッサを構成する制御装置と演算装置の役割,それらを構成する加算器,レジスタ,デコーダ(命令解読器,復号器)などの役割,プロセッサの能力とシステムの処理能力の関係を理解する。また,命令実行時のレジスタの動作を理解する。
アキュムレーター,補数器,乗算器,積和演算器,命令アドレスレジスタ(命令カウンター,プログラムカウンター,逐次制御カウンター),IR(InstructionRegister:命令レジスタ),GR(General Register:汎用レジスタ),インデックスレジスタ( 指標レジスタ), ベースレジスタ, MAR ( Memory AddressRegister:メモリアドレスレジスタ),DR(Data Register:データレジスタ),MR(Memory Register:メモリレジスタ),スタックポインタ
1.6. プロセッサの動作原理
1.6.1. 演算の仕組み
AND 回路,OR 回路,NOT 回路などの基本となる論理回路の組合せによって半加算器,全加算器が実現され,演算が行われていることを理解する。
順序回路,組合せ回路,NAND 回路
1.6.2. 命令とアドレッシング
代表的な機械語命令の種類,命令語の構成,命令の実行手順(命令の取出し,命令部の解読,データの取出し,命令の実行),アドレス修飾を理解する。また,機械語演算のバイナリ表現,アセンブラの記号表現との対応,相互の変換を行う方法を理解する。
算術演算命令,論理演算命令,転送命令,比較命令,分岐命令,シフト命令,入出力命令,アドレス部(オペランド),フェッチ,アドレス計算,アドレス方式,アドレス修飾,直接アドレス指定,間接アドレス指定,インデックスアドレス指定(インデックス修飾),ベースアドレス指定,相対アドレス指定,絶対アドレス指定,即値アドレス指定,有効アドレス(実効アドレス)
1.6.3. 割込み
割込みの仕組み,内部割込み,外部割込みに分類される割込みの種類,多重割込み時の処理を理解する。
SVC(SuperVisor Call)割込み,入出力割込み,割込み制御,マシンチェック割込み,プログラム割込み
1.7. マイクロプログラム制御
プロセッサの動作を制御する仕組みとして,1 機械語命令を実行するためのプログラム(マイクロプログラム)をファームウェア化して内蔵する方式があること,その特徴を理解する。
マイクロプログラムメモリ,マイクロプログラムカウンター,エミュレーション,水平型マイクロコード,垂直型マイクロコード
1.8. プロセッサの性能
クロック周波数,CPI(Cycles Per Instruction),MIPS などの意味を理解する。
サイクルタイム,FLOPS,命令ミックス
1.9. プロセッサの高速化技術
プロセッサの代表的な高速化技術の種類,特徴を理解する。
命令パイプライン,スーパーパイプライン,スーパースカラ,VLIW,ベクトル処理方式,ハイパースカラ方式,超並列プロセッサ,パイプラインハザード,データハザード,構造ハザード,制御ハザード,シングルコアプロセッサ,マルチコアプロセッサ,マルチスレッディング
1.10. 並列処理
1.10.1. 命令とデータの流れ
代表的な並列処理方式の種類,特徴を理解する。
SISD,SIMD,MISD,MIMD
1.10.2. 並列処理の隘路(あいろ)
並列化できないため逐次処理にならざるを得ない処理として,複数のプロセッサからの主記憶装置の使用要求の競合,データベースへの同時アクセスによるロックの発生などがあること,それらの処理が能力向上を阻害する原因となることを理解する。
1.11. マルチプロセッサシステム
複数のプロセッサを搭載し,高速化や高信頼化を実現したシステムについて,種類,特徴,仕組み,マルチプロセッサシステムを適切に組み合わせた基盤設計を理解する。
疎結合マルチプロセッサシステム,密結合マルチプロセッサシステム,タンデム結合マルチプロセッサシステム,アレイコンピュータシステム,アムダールの法則,同期,SMP(Symmetric Multi Processing:対称型マルチプロセッシング),クラスタ,トーラス,ハイパーキューブ,ハイパーツリー