4.1. システム運用管理

1. 概要

 本記事では、応用情報処理技術者試験シラバスの「サービスマネジメント」項目の中から「システム運用管理」に注目し、基本概念や運用活動、そして運用の資源管理(要員などの人的資源及びハードウェア、ソフトウェア、データ、ネットワークなどインフラストラクチャの技術的資源)の実践方法について詳しく解説します。
 システム運用管理は、日常の運用計画、障害発生時運用、運用負荷低減のための改善計画に加え、容量・能力管理、情報セキュリティ管理、サービス可用性管理、サービス継続管理の各方針に基づいた重要な活動です。また、仮想環境の運用管理、ジョブの管理、データ管理、利用者の管理、コールドスタート及びウォームスタートといった要素も含まれ、システム全体の安定稼働に寄与します。

2. 詳細説明

2.1. システム運用管理の基本概念

 システム運用管理は、システムが常に安定して稼働するために、日常運用計画、障害発生時の迅速な対応、及び運用負荷低減のための改善計画を包括する活動です。

graph TD
  A[運用計画]
  B[障害発生時運用]
  C[改善計画]
  A --> B
  A --> C
  B --> D[復旧手順]
  C --> D

図1: システム運用管理全体構成図

2.2. 運用の資源管理の役割と要素

   ・ 運用の資源管理は、サービスを構成する設備、コンピュータシステム、データ、マニュアル、成果物、及びシステムを運用する要員を、組織の目標に適合させながら維持・運用する活動です。
   ・ この管理には、人的資源のみならず、ハードウェア、ソフトウェア、データ、ネットワークなどの技術的資源が含まれます。

2.3. その他の重要な運用管理項目

  • 仮想環境の運用管理
    仮想化技術を活用し、物理資源の効率的利用や柔軟なシステム構成を実現します。
  • ジョブの管理
    定期的な処理やバッチ処理のスケジュール管理、実行状況の監視を行い、システム全体のパフォーマンスを維持します。
  • データ管理
    システムの重要な情報資源であるデータのバックアップ、リストア、及び整合性の確保を目的とした管理活動です。
  • 利用者の管理
    システム利用者の権限設定、アクセスログの監視、セキュリティ対策を実施します。
  • コールドスタートとウォームスタート
    障害発生時のシステム再起動手法であり、全体の電源を切るコールドスタートと、部分的な再起動で迅速な復旧を図るウォームスタートがあります。

3. 応用例

3.1. 企業におけるシステム運用管理の実践

  • 大手企業では、日常運用計画に仮想環境の運用管理を組み込み、システムの柔軟性や拡張性を確保しています。
  • 障害発生時には、ジョブの管理やデータ管理、利用者の管理を基にしたセキュリティ対策が講じられ、コールドスタートまたはウォームスタートを活用した迅速な復旧が実現されています。
flowchart TD
  A[システム運用管理]
  B[仮想環境の運用管理]
  C[ジョブの管理]
  D[データ管理]
  E[利用者の管理]
  A --> B
  A --> C
  A --> D
  A --> E
  B --> F[柔軟なリソース配分]
  C --> G[定期処理の監視]
  D --> H[バックアップ/リストア]
  E --> I[アクセス管理]

図2: 企業における運用管理フロー図

3.2. サービス継続計画における運用の資源管理

 人的資源の研修、ハードウェアの定期点検、ソフトウェアのパッチ管理、データのバックアップ体制、ネットワークの監視体制などを組み合わせ、システムの安定性と信頼性を向上させています。

4. 例題

4.1. 例題1:システム運用管理の基本計画

【問題】
 企業のITシステムにおいて、日常運用計画、障害発生時運用、及び改善計画の重要性について説明し、具体的な運用手法としてコールドスタートとウォームスタートの違いを述べよ。

 日常運用計画は、システムの定期的なバックアップ、メンテナンス、監視体制を整えることで安定稼働を実現します。障害発生時運用は、迅速な対応と復旧手順を定め、業務中断を最小限に抑えます。また、過去の運用実績を基にした改善計画は、システムやプロセスの最適化に寄与します。
 コールドスタートは、システム全体の電源を切り、完全なリセットを実施する方法で、復旧に時間がかかる場合があります。一方、ウォームスタートは、部分的な再起動で必要なサービスのみ迅速に復旧する方法です。

項目 コールドスタート ウォームスタート
復旧時間 長い 短い
システムリセット 完全なリセット 部分的なリセット
メリット 全体の状態をリセット可能 迅速な復旧が可能
デメリット 復旧に時間がかかる 部分的な問題解消に留まる

表1: コールドスタートとウォームスタートの比較表

4.2. 例題2:運用の資源管理の実践

【問題】
   システム運用において、運用の資源管理の観点から、人的資源や技術的資源(ハードウェア、ソフトウェア、データ、ネットワーク)の管理が重要とされる理由を説明し、具体的な管理方法を一つずつ挙げよ。

 運用の資源管理は、システム全体の安定稼働を支えるために不可欠です。

  • 人的資源:運用要員のスキル向上や適切なシフト管理により、障害発生時にも迅速な対応が可能となります。
  • ハードウェア:定期点検や交換計画を実施し、故障リスクを低減させます。
  • ソフトウェア:最新のパッチ適用やバージョン管理でセキュリティリスクを軽減します。
  • データ:バックアップ体制や整合性チェックにより、情報損失を防ぎます。
  • ネットワーク:トラフィック監視や障害検知システムを導入し、通信障害の未然防止を図ります。

5. まとめ

 本記事では、システム運用管理が日常運用計画、障害発生時運用、改善計画を通じ、システムの安定稼働を実現するための不可欠な活動であることを解説しました。
 運用の資源管理においては、人的資源及びハードウェア、ソフトウェア、データ、ネットワークなど技術的資源の管理が、システムの信頼性向上に大きく寄与することを説明しました。
 さらに、仮想環境の運用管理、ジョブの管理、データ管理、利用者の管理、コールドスタート及びウォームスタートの各運用手法が、障害発生時の迅速な対応とサービス継続に不可欠である点を理解していただけたと思います。