2.2. サービスの計画

1. 概要

 サービスマネジメントシステムの計画及び運用における「サービスの計画」は、サービスの要求事項を決定し、利用可能な資源を考慮した上で、変更要求や新規サービス、またはサービス変更の提案の優先順位付けを行うことを目的としています。例えば、企業が新しいクラウドストレージサービスを提供する際、利用者のデータ保護要件を満たすセキュリティ機能や、スムーズな拡張性を考慮して計画を立案します。適切なサービス計画を実施することで、サービスのライフサイクルを管理し、効率的なサービス提供を実現することが可能になります。

2. 詳細説明

2.1. サービスの要求事項

 サービスの要求事項とは、利用者や関係者のニーズ、ビジネス目標、技術的制約などを総合的に考慮して定義されるものです。これには、機能要件、性能要件、セキュリティ要件などが含まれます。

2.2. 変更要求

 既存のサービスに対して新たな機能追加や改善が必要な場合、変更要求が発生します。変更要求は、ビジネス環境の変化、技術革新、ユーザーのフィードバックなどによって引き起こされます。

2.3. サービスポートフォリオ

 サービスポートフォリオは、組織が提供するすべてのサービスを管理するためのフレームワークです。これには、サービス・パイプライン、稼働中のサービス、廃止されたサービスが含まれます。

graph TD;
  A[サービスポートフォリオ] --> B[サービス・パイプライン];
  A --> C[稼働中のサービス];
  A --> D[廃止されたサービス];

2.4. サービス・パイプライン

 サービス・パイプラインは、現在開発中のサービスや計画段階のサービスを指します。この管理により、新しいサービスの導入や既存サービスの変更を戦略的に進めることが可能となります。

graph TD;
  A[サービス・パイプライン] --> B[計画中];
  B --> C[開発中];
  C --> D[稼働中];
  D --> E[廃止];

2.5. サービスの状態

 サービスの状態は、計画中、開発中、稼働中、廃止などの段階に分けられます。各状態を明確に定義し、適切な管理を行うことが、効率的なサービス運用につながります。

状態説明
計画中新規サービスの提案段階。要件定義やリソース調整が行われる。
開発中サービスの設計・開発が進行中。テストや改修が含まれる。
稼働中サービスが正式に提供され、ユーザーに利用されている状態。
廃止サービスの提供が終了し、顧客向けサポートも停止された状態。

3. 応用例

3.1. ITサービス業界における適用

 IT業界では、クラウドサービスやSaaSの提供において、サービスの計画が不可欠です。例えば、クラウドストレージプロバイダーは、顧客の要望に基づいて新たなデータ暗号化技術を導入する計画を立てたり、ストレージ容量の拡張を段階的に実施したりします。また、SaaSプロバイダーは、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためのUI/UXの改善や、新機能の追加を定期的に計画し、競争力を維持しています。

3.2. 金融業界における適用

 銀行や保険会社では、新しい金融商品を提供するために、サービス・パイプラインを活用しながら、新規サービスの計画を行います。例えば、ある銀行がデジタルバンキングサービスを拡充する場合、モバイルアプリの開発を進めながら、セキュリティ対策や規制対応を計画段階で考慮します。また、保険会社ではAIを活用した自動見積もりサービスの導入が進められており、これにより顧客の利便性向上と業務効率化が期待されています。

4. 例題

例題1

問題:  以下のサービスの状態を適切なカテゴリに分類してください。

  1. クラウドバックアップサービスが新規開発の承認を受けた段階
  2. モバイル決済サービスが市場に提供されている状態
  3. 旧バージョンのERPシステムが顧客向けサポートを終了した状態
  1. 計画中
  2. 稼働中
  3. 廃止

例題2

問題:  新規のオンライン学習プラットフォームの導入を計画しています。この計画において考慮すべきサービスの要求事項を3つ挙げてください。

  1. ユーザーが快適に利用できる応答速度(性能要件)
  2. 個人情報保護のためのセキュリティ対策(セキュリティ要件)
  3. 多言語対応の機能(機能要件)

5. まとめ

 サービスの計画は、組織のサービス提供を成功に導くために重要な要素です。サービスの要求事項の決定、変更要求の管理、サービスポートフォリオの活用、サービス・パイプラインの調整、サービスの状態の管理を適切に行うことで、効率的かつ効果的なサービス運用が実現されます。