1. 概要
本記事では、サービスマネジメントシステムの計画及び運用の中で重要なプロセスである問題管理について解説します。
問題管理は、インシデントのデータやその傾向分析(インシデントの発生パターンや頻度を分析する手法)を通じて、各問題の根本原因を特定し、インシデントの発生又は再発を防止するための予防処置を決定するプロセスです。
また、問題管理は、記録、分類、優先順位付け、エスカレーション、解決、そして終了という一連の手順で実施され、必要な場合には変更管理の方針に従って変更管理との連携も行います。
さらに、恒久的な解決に至らない場合には、既知の誤りとして記録し、サービスへの影響を低減する予防処置を講じることが求められます。
2. 詳細説明
2.1. 基本概念
問題管理は、サービス提供時に発生する障害やインシデントの背景に潜む根本的な原因を解明し、再発防止策を講じるためのプロセスです。
このプロセスでは、発生した各問題について詳細な記録を行い、内容に応じて適切に分類します。その後、問題の影響度や発生頻度に基づき優先順位付けを実施し、必要に応じて担当部署や上位マネジメントへのエスカレーションが行われます。
また、問題管理においては、対策実施に伴う変更が必要な場合、変更管理の方針に沿って管理されるため、変更管理との連携が重要です。
最終的には、適切な対策を講じて解決し、効果が確認された場合にプロセスを終了させます。
なお、恒久的な解決に至らない場合には、問題を既知の誤りとして記録し、サービスへの影響を低減するための予防処置を実施します。
2.2. プロセスの各ステップ
以下、問題管理の主要なステップについて詳しく説明します。
2.2.1. 記録と分類
まず、発生した問題は正確に記録されます。
その後、問題の性質や発生状況に基づき、適切なカテゴリに分類され、再発防止策検討の基礎データとなります。
2.2.2. 優先順位付けとエスカレーション
記録された問題は、影響度や発生頻度を踏まえて優先順位付けが行われます。
もし、問題の重大性や解決の難易度が高い場合は、迅速な対応を図るため、担当部署や上位マネジメントへのエスカレーションが実施されます。
2.2.3. 解決と終了(変更管理との連携)
適切な対策が講じられた場合、問題は解決されます。
この際、問題管理に伴う必要な変更は、変更管理の方針に従って管理されます。
対策の効果が確認されれば、プロセスは終了となり、対策内容は文書化されます。
2.2.4. 既知の誤りと予防処置
場合によっては、根本原因が特定されたにもかかわらず、問題が恒久的に解決されないケースもあります。
その場合は、サービスへの影響を低減または除去するための予防処置が決定され、問題は既知の誤りとして記録され、今後の改善策の基礎となります。
flowchart TD A[問題の発生] B[記録] C[分類] D[優先順位付け] E[エスカレーション(必要な場合)] F[解決] G[終了] H[既知の誤りとして記録・予防処置の決定] A --> B B --> C C --> D D --> E E --> F F --> G F -- 恒久解決不可 --> H
3. 応用例
3.1. 企業における運用例
大手IT企業では、システム障害発生時に記録されたインシデントデータをもとに、傾向分析(障害発生パターンの分析)を実施しています。
例えば、特定のシステムで同様の障害が繰り返される場合、担当チームはその障害の根本原因を徹底的に調査し、発生状況を分類します。
その上で、障害の影響度に基づいて優先順位付けが行われ、重大な場合は速やかにエスカレーションして対応策を協議します。
最終的に、効果的な対策が講じられた場合は問題を解決し、再発防止のための予防処置を実施し、全プロセスが完了したら終了とします。
また、恒久的な解決が得られなかった問題は、既知の誤りとして管理され、次回以降の対策の参考とされています。
3.2. サービス改善への寄与
問題管理プロセスは、インシデント対応のみならず、サービス品質の向上にも寄与します。
各問題の発生状況を記録・分類し、傾向分析によって共通の要因を抽出することで、根本的な改善策が検討され、予防処置の実施に結びつきます。
この体系的なアプローチにより、サービス全体の信頼性向上や顧客満足度の向上が実現されています。
ステップ | 目的 | 実施内容 | 注意点・連携 |
---|---|---|---|
記録 | 問題発生の事実を把握 | 詳細な情報の記録 | 正確性の確保 |
分類 | 問題の特性把握 | カテゴリ別に整理 | 再発防止策の基礎データ |
優先順位付け | 対応の緊急性判定 | 影響度・頻度に基づく評価 | 適切なリソース配分 |
エスカレーション | 迅速な対応の実現 | 上位部署への連絡 | 重大な問題に対して |
解決 | 問題の根本解消 | 適切な対策の実施 | 変更管理との連携 |
終了 | プロセスの完了 | 対策効果の確認 | 文書化とフィードバック |
既知の誤り・予防処置 | 恒久解決不可の場合の対応 | 予防処置の決定と記録 | 今後の改善に活用 |
表1: 問題管理プロセス各ステップの概要と対応策
4. 例題
例題1
問題:
ある企業で頻繁に発生するシステム障害に対し、問題管理プロセスをどのように実施すべきか、各ステップの内容とその連携を説明してください。
- 障害発生時に詳細な内容を記録し、発生状況や原因に基づいて分類する。
- インシデントデータの傾向分析を行い、共通の要因を抽出して根本原因を特定する。
- 問題の影響度に応じた優先順位付けを実施し、必要な場合は速やかにエスカレーションする。
- 対策実施時には変更管理の方針に従い、適切な対応を講じ、問題を解決する。
- 対策が効果的であることを確認したら、プロセスを終了させる。
- 恒久的な解決に至らなかった場合は、既知の誤りとして記録し、サービス影響の低減のための予防処置を実施する。
例題2
問題:
特定の問題に対して、根本原因は明確になったものの、恒久的な解決が得られなかった場合、どのような手順で対処すべきか説明してください。
- 明確になった根本原因に基づき、サービスへの影響を低減するための予防処置を決定する。
- 対策実施後、その効果をモニタリングし、再発防止が達成されているか確認する。
- 効果が不十分な場合、追加対策のためにエスカレーションを行い、再度検討する。
- 十分な効果が確認できない場合は、問題を既知の誤りとして記録し、次回以降の改善に活用する。
5. まとめ
本記事では、サービスマネジメントにおける問題管理の重要性とそのプロセスについて解説しました。
具体的には、インシデントデータの記録と分類、傾向分析による根本原因の特定、問題の優先順位付け、必要に応じたエスカレーション、最終的な解決と終了の手順を学びました。
さらに、問題管理に伴う変更は変更管理の方針に従い管理され、恒久的な解決に至らない場合は既知の誤りとして記録、サービスへの影響低減のための予防処置が決定される点も重要です。
これらの知識は、実践的なスキルとして、現場での問題解決に大いに役立つでしょう。