2.1. サービスマネジメントシステムの計画と支援

1. 概要

 サービスマネジメントシステム(SMS)の計画及び運用は、組織が提供するサービスの品質を維持し、継続的に改善するために重要な要素です。特に、計画と支援のフェーズでは、サービスの運用を効果的に管理するために必要な資源や知識を適切に確保し、維持することが求められます。

 この分野では、国際標準であるJIS Q 9001(品質マネジメントシステムに関する日本産業規格であり、ISO 9001を基に策定された規格)を参考にしながら、PDCAサイクルを活用して継続的な改善を行います。また、組織が適切な力量を持つ人材を確保し、関係者間のコミュニケーションを円滑に行うための仕組みを整えることも必要です。

2. 詳細説明

2.1. サービスマネジメントシステムの計画

 サービスマネジメントシステムの計画では、組織の戦略や目的に沿った適切な計画を策定し、それを実行可能な形に落とし込む必要があります。具体的には、以下のポイントが重要になります。

  • 方針と目的の設定: 組織のサービス目標を明確にし、それに基づいた方針を策定します。
  • 資源の確保: 必要な人材、技術、インフラなどの資源を適切に配置し、維持する。
  • リスクと機会の評価: サービス提供におけるリスクを分析し、それを管理する。
  • 文書化した情報の管理: 必要な手順やプロセスを明文化し、継続的に更新・管理する。

2.2. サービスマネジメントシステムの支援

 サービスマネジメントシステムを円滑に運用するためには、適切な支援が不可欠です。そのために、以下の点を考慮します。

  • 知識の管理: 組織のナレッジを蓄積し、必要なタイミングで活用できるようにする。
  • 力量の維持: 従業員のスキルや能力を向上させるための研修やトレーニングを計画する。
  • 認識の向上: 従業員が組織の目的や方針を理解し、適切に行動できるようにする。
  • コミュニケーションの強化: 組織内外の関係者と適切な情報共有を行う。

3. 応用例

3.1. ITサービス管理(ITSM)への適用

 多くの企業では、ITサービスの品質を確保するためにITIL(Information Technology Infrastructure Library)を採用し、サービスマネジメントシステムの計画と運用を行っています。特に最新版であるITIL 4では、従来のプロセスベースのアプローチに加え、価値共創やサービスの柔軟性を重視した原則が導入されています。PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を行うことで、システムの信頼性や可用性を向上させることができます。

3.2. 製造業における品質管理

 JIS Q 9001をベースにした品質マネジメントシステムを活用し、製品だけでなくサービスの品質を管理する企業も増えています。文書化した情報を適切に管理し、力量の維持や知識の蓄積を行うことで、継続的な改善を実現しています。

4. 例題

例題1

問題: サービスマネジメントシステムの計画において、必要な資源を適切に確保し、維持するために考慮すべき要素を3つ挙げ、それぞれ簡潔に説明しなさい。

  1. 人材(力量): 適切なスキルを持つ人材を確保し、定期的な研修を実施する。具体的には、ITサービス管理の専門知識やプロジェクトマネジメントのスキル、コミュニケーション能力の向上を目的とした研修が含まれる。また、ITILやJIS Q 9001に基づいたサービス改善の手法を学ぶトレーニングも実施し、組織全体のサービス品質を向上させる。
  2. 技術(知識): 最新の技術やベストプラクティスを活用し、組織のナレッジを蓄積する。具体的には、クラウド技術やセキュリティ対策、AI活用の知識を深めるための研修やハンズオンワークショップを実施する。また、ベストプラクティスを文書化し、組織内で共有することで知識の維持・向上を図る。
  3. 設備(資源): サービス提供に必要なインフラや設備を適切に管理し、計画的に更新する。例えば、ネットワーク機器やサーバーの保守計画を策定し、定期的な点検・更新を行うことでサービスの安定性を確保する。また、業務に必要なソフトウェアやツールの最新バージョンを導入し、作業効率を向上させる。

例題2

問題: PDCAサイクルを活用してサービスマネジメントシステムの改善を行う場合、各フェーズ(Plan, Do, Check, Act)において具体的にどのような活動を行うか説明しなさい。

  1. Plan(計画): サービスの目標を設定し、それを達成するための具体的な施策を検討する。例えば、必要な人材のスキル要件を定義し、教育プログラムを計画する。また、技術的なインフラの見直しや必要な設備の導入計画を策定する。
  2. Do(実施): 計画に基づいて具体的なアクションを実行する。例えば、従業員向けのトレーニングを実施し、技術的なインフラを整備する。さらに、業務プロセスのマニュアルを作成し、サービスの標準化を進める。
  3. Check(評価): サービスの品質を測定し、評価基準に基づいた分析を行う。例えば、KPI(主要業績評価指標)を活用し、サービスのパフォーマンスを数値化する。また、フィードバックを収集し、問題点や改善点を特定する。
  4. Act(改善): 評価結果を基に具体的な改善策を策定し、次のPDCAサイクルに反映させる。例えば、不足しているスキルの強化を目的とした追加研修を実施する。さらに、プロセスの見直しを行い、業務効率を向上させるための施策を講じる。

5. まとめ

 サービスマネジメントシステムの計画と支援は、組織が高品質なサービスを提供し続けるために不可欠な要素です。JIS Q 9001を活用しながら、PDCAサイクルを回し、継続的な改善を行うことが重要です。また、資源の確保や力量の維持、知識の管理、コミュニケーションの強化などを適切に実施することで、組織の競争力を高めることができます。