1. 概要
構成管理(Configuration Management)は、ITサービスマネジメントにおいて、サービスに関連する構成品目(CI:Configuration Item)を識別し、それらの構成情報を適切に管理するための重要な活動です。構成管理の目的は、文書化された構成情報(例:構成管理データベース(CMDB))を維持し、版(バージョン)を正しく管理し、構成ベースラインを確立することです。また、定期的な構成監査を通じて、構成情報の正確性を検証し、必要に応じて他のサービスマネジメント活動と統合することが求められます。
2. 詳細説明
2.1. 構成管理の基本概念
構成管理は、ITサービスの提供に必要な全ての構成品目(CI)を体系的に管理するためのプロセスです。これは、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)などの業界標準に基づいて実施され、サービスの可用性や変更管理を効率的に行うために不可欠な要素です。以下の要素が含まれます。
- 構成識別: 構成品目(CI)を一意に識別し、関連する情報を定義する。
- 構成管理データベース(CMDB): 文書化された構成情報を管理するためのデータベース。
- 版(バージョン)管理: 各構成品目の変更履歴を適切に管理する。
- 構成ベースライン: 一定の時点でのCIの標準的な設定を定め、それを管理する。
- 構成監査: 記録された構成情報と実際の構成を照合し、整合性を確認する。
2.2. 構成管理のプロセス
構成管理のプロセスは、以下のステップで実施されます。
- 構成品目の識別(Configuration Identification)
- 構成品目の一覧を作成し、CIごとに一意の識別子を付与。
- CIの属性や関係性を定義。
- 構成情報の記録(Configuration Recording)
- 構成管理データベース(CMDB)に、各CIの構成情報を記録。
- 変更が発生した場合には、適切に情報を更新。
- 構成情報の制御(Configuration Control)
- CIの変更を管理し、適切な版(バージョン)管理を実施。
- 変更が承認される前に影響評価を実施。
- 構成情報の追跡及び検証(Configuration Verification and Audit)
- 定期的な構成監査を実施し、文書化された構成情報と実際のCIが一致しているか確認。
- 監査の結果を元に、必要な是正措置を実施。
3. 応用例
3.1. ITインフラ管理における構成管理
企業のIT部門では、サーバー、ネットワーク機器、ソフトウェアなど、多くのCIを管理する必要があります。構成管理を適切に実施することで、以下のメリットが得られます。
- 障害対応の迅速化: 構成情報が正確に記録されているため、障害発生時の原因特定が容易になる。
- 変更管理の効率化: 変更による影響範囲を正確に把握でき、リスクを最小限に抑えられる。
- 監査対応の強化: 正確な構成情報が維持されることで、内部監査や外部監査に対応しやすくなる。
3.2. クラウド環境における構成管理
クラウド環境では、仮想マシン、コンテナ、ネットワーク設定など、動的に変化する構成を適切に管理する必要があります。クラウドの構成管理では、Infrastructure as Code(IaC)を活用し、自動化された構成管理を実施することが一般的です。具体的なツールとしては、Terraform、AWS Config、Ansibleなどがあり、これらを活用することで、構成の一貫性を維持し、変更の影響を迅速に把握できます。クラウドの構成管理では、Infrastructure as Code(IaC)を活用し、自動化された構成管理を実施することが一般的です。
4. 例題
例題1: 構成識別
問題: 以下の構成品目(CI)を識別し、それぞれの属性を適切に整理してください。
- Webサーバー(Linux OS, Apache, MySQL)
- ネットワークスイッチ(Cisco Catalyst 9000)
- クライアントPC(Windows 11, Office 365)
CI名 | タイプ | OS / ソフトウェア | 備考 |
---|---|---|---|
Webサーバー | サーバー | Linux, Apache, MySQL | LAMP環境 |
ネットワーク機器 | スイッチ | – | VLAN設定あり |
クライアントPC | PC | Windows 11, Office 365 | 社員用端末 |
例題2: 構成管理データベース(CMDB)
問題: 構成管理データベース(CMDB)に記録するべき情報として適切なものを、以下の選択肢からすべて選んでください。なお、ITILのベストプラクティスに基づき、CMDBには構成品目の識別子や関係性、バージョン情報などの管理が推奨されています。
- 各構成品目の識別子
- サービスデスクの通話履歴
- 構成品目の関係性
- システム運用ルール
- 各構成品目のバージョン情報
適切な選択肢: 1, 3, 5
5. まとめ
構成管理は、ITサービスの安定運用を支える重要なプロセスです。構成品目(CI)を識別・記録・制御し、構成管理データベース(CMDB)を活用することで、版(バージョン)管理や構成監査を実施できます。特に、構成ベースラインを確立し、定期的な監査を行うことが、正確な構成情報の維持に不可欠です。企業のITインフラやクラウド環境においても構成管理が重要な役割を果たし、適切な実践によってITサービスの品質向上につながります。