2.4. 資産管理

1. 概要

 資産管理(IT アセットマネジメント(ITAM:IT asset management))は、組織がサービスを提供するために使用するハードウェアやソフトウェア、ライセンスなどの資産を適切に管理するためのプロセスです。特に、サービスマネジメントシステムの計画においては、資産の適切な管理がサービスの品質維持とコスト削減の観点から重要となります。

 ソフトウェアアセットマネジメント(SAM)は、ソフトウェア資産のライフサイクル全体を管理し、無駄なコストの発生を防ぎながら適切な使用を確保することを目的としています。また、ライセンスマネジメントは、ソフトウェアの適切なライセンス使用を保証し、コンプライアンス違反を防ぐために必要不可欠です。

2. 詳細説明

2.1. 資産管理(IT アセットマネジメント)とは

 IT アセットマネジメント(ITAM)は、ISO/IEC 19770-1などの国際規格に基づき、組織のIT資産(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器など)を一元的に管理し、最適な利用を促進する管理手法です。ITAMの主要な要素には以下が含まれます。

  • 資産の識別: どの資産が存在し、どこに配置されているかを特定する。
  • 資産の追跡: 物理的および論理的な管理を行い、適切に配置・利用されているかを監視する。
  • ライフサイクル管理: 資産の導入、運用、廃棄までの全プロセスを管理する。

2.2. ソフトウェアアセットマネジメント(SAM)

 ソフトウェアアセットマネジメント(SAM)は、ソフトウェアの購入、導入、利用、更新、廃棄の管理を行うプロセスです。特に、以下の点が重要です。

  • ライセンスコンプライアンスの確保: 不正利用やライセンス超過を防ぎ、コンプライアンス違反を回避する。
  • ソフトウェアの最適化: 使用されていないソフトウェアの削減、ライセンスの適正管理を通じてコストを削減する。
  • リスク管理: ライセンス違反による法的リスクや、セキュリティリスクを最小限に抑える。

2.3. ITAMとSAMの比較

以下に、IT アセットマネジメント(ITAM)とソフトウェアアセットマネジメント(SAM)の違いを示す図を挿入します。

graph TD;
  ITAM[IT アセットマネジメント] -->|管理対象| A[ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク機器];
  SAM[ソフトウェアアセットマネジメント] -->|管理対象| B[ソフトウェア資産];
  ITAM -->|目的| C[資産の最適化・管理];
  SAM -->|目的| D[ライセンス管理・最適化];
  ITAM -->|コスト削減| E[資産最適活用];
  SAM -->|コスト削減| F[ライセンス最適化];
  ITAM -->|リスク管理| G[ハードウェア管理・セキュリティリスク低減];
  SAM -->|リスク管理| H[ライセンス違反防止・法的リスク低減];
項目IT アセットマネジメント(ITAM)ソフトウェアアセットマネジメント(SAM)
管理対象ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器などのIT資産全般ソフトウェア資産のみ
目的資産の全体的な管理と最適化ソフトウェアのライセンス管理と適正化
コスト削減資産の最適活用とライフサイクル管理によるコスト削減ライセンス最適化によるコスト削減
リスク管理ハードウェアの管理とセキュリティリスク低減ライセンス違反防止と法的リスク低減

3. 応用例

3.1. 企業のIT資産管理

 多くの企業では、IT資産管理を導入し、コストの最適化とコンプライアンスの確保を図っています。例えば、企業内で不要なソフトウェアを削減し、適正なライセンス数を維持することで、無駄なコストを削減できます。

3.2. クラウド環境におけるライセンス管理

 クラウドサービスを活用する企業が増える中、ライセンスマネジメントの重要性が増しています。例えば、ある企業では、クラウドベースのソフトウェアを導入した際、不要なライセンスを継続的に購入してしまい、年間コストが20%増加した事例があります。また、従量課金制のクラウドサービスでは、利用状況を把握せずに契約を続けることで、予期しないコスト増加の原因となります。そのため、ライセンスインベントリの定期的な見直しや、使用状況に応じた最適なライセンスプランの選択が求められます。

4. 例題

例題1

問題: 企業Aは、社内で使用しているソフトウェアのライセンス管理が不十分であることが判明した。例えば、従業員が利用しないソフトウェアのライセンスが多数存在し、適切な管理が行われていなかった。また、複数の部署で同一のライセンスを重複購入しており、コストが無駄になっていた。この企業が実施すべき資産管理のプロセスを3つ挙げ、それぞれの目的を説明せよ。

  1. ライセンスインベントリの作成: 保有しているライセンスの一覧を作成し、利用状況を把握する。
  2. ライセンス監査の実施: 使用実績を監査し、不要なライセンスの削減を行う。
  3. 自動化ツールの導入: ライセンス管理ツールを活用し、手作業のミスを減らす。

5. まとめ

 サービスマネジメントシステムの計画及び運用において、資産管理は重要な役割を果たします。特に、ITアセットマネジメント(ITAM)、ソフトウェアアセットマネジメント(SAM)、ライセンスマネジメントを適切に実施することで、コスト削減やコンプライアンスの確保が可能となります。企業においては、これらの管理手法を適切に活用し、持続的なIT運用を目指すことが求められます。

以下に、サービスマネジメントシステムにおける資産管理の要点を示す表を挿入します。

項目 説明
ITアセットマネジメント(ITAM) ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機器などの資産を包括的に管理する手法
ソフトウェアアセットマネジメント(SAM) ソフトウェアのライフサイクル全体を管理し、ライセンスの適正使用を保証する手法
ライセンスマネジメント ソフトウェアライセンスの適切な管理を行い、コスト最適化とコンプライアンスを確保するプロセス