1. 概要
プロジェクトにおける調達は、プロジェクトの成功に不可欠な要素の一つであり、適切なツールと技法を活用することで、リスクの軽減やコストの最適化が可能となります。本記事では、応用情報処理技術者試験シラバスのマネジメント系「プロジェクトマネジメント」の「プロジェクトの調達」の「ツールと技法」について解説します。特に、調達の対象群が含むプロセスに関連するツールと技法を理解することを目的とします。
2. 詳細説明
2.1. プロジェクトにおける調達戦略
プロジェクトの調達戦略では、必要なリソースやサービスをどのように外部から調達するかを計画します。特に契約のタイプの選択は、リスク管理とコスト管理の観点から重要です。
- 定額契約(Fixed Price Contract):
- 買い手が事前に合意した価格で調達する契約形態。
- コストの予測がしやすいが、変更管理が必要。
- コストプラス契約(Cost Plus Contract):
- 実際にかかったコストに加えて、一定の利益を加算する方式。
- 予算管理が難しいが、品質重視のプロジェクト向け。
- 時間・材料契約(Time and Materials Contract):
- 実作業時間と使用材料に基づいて支払う契約。
- 変更の多いプロジェクトに適しているが、コスト管理が必要。
2.2. 調達作業範囲記述書(SOW)
SOW(Statement of Work)は、調達対象となる作業の範囲や条件を明確に定義する文書です。
- 目的:調達対象の範囲と成果物を明確にする。
- 主要要素:
- 作業内容の詳細
- 納期や品質基準
- 受け入れ条件
- 契約条項の概要
SOWの適切な作成により、契約の明確化が図られ、紛争の防止やプロジェクトの円滑な進行に寄与します。
2.3. プロジェクト調達における主なツールと技法
- 入札(Bidding):複数のサプライヤーから提案を受け、最適な供給元を選定する。
- 交渉(Negotiation):契約条件やコストを調整し、双方にとって最適な合意を形成する。
- コンペティティブ・レンジ(Competitive Range):入札者の中から一定基準を満たす候補を選定し、詳細評価を行う。
- 契約管理(Contract Administration):契約の履行状況を監視し、適切に管理する。
3. 応用例
3.1. ITプロジェクトにおける調達
IT開発プロジェクトでは、外部ベンダーにソフトウェア開発を委託するケースが多く、適切な調達戦略が必要です。例えば、
- 小規模システムでは定額契約を適用し、コストを固定。
- 研究開発要素が強い場合はコストプラス契約を採用。
3.2. インフラ構築における調達
データセンターの設立プロジェクトでは、
- ハードウェア調達は入札プロセスを活用し、コスト削減。
- 施工管理は時間・材料契約を適用し、柔軟な進行を確保。
4. 例題
例題1
問題:以下のプロジェクトでは、どの契約タイプを適用すべきか選択し、理由を述べなさい。
- 要件が明確で変更が少ないウェブアプリ開発。
- 研究開発を伴う新規技術の実証実験。
- 継続的な要件変更が発生するIT運用保守。
- 定額契約(要件が明確で変更が少ないため、コストを固定しやすい)
- コストプラス契約(研究開発のため、不確実性が高く柔軟な契約が必要)
- 時間・材料契約(変更が頻発するため、柔軟な対応が可能な契約を選択)
例題2
問題:調達作業範囲記述書(SOW)の目的と、主要な構成要素を3つ挙げなさい。
- 目的:調達対象の範囲と成果物を明確にする。
- 構成要素:
- 作業内容の詳細
- 納期や品質基準
- 受け入れ条件
5. まとめ
本記事では、プロジェクト調達の「ツールと技法」に関する知識を整理し、実際の応用例を紹介しました。調達戦略の策定、適切な契約の選択、SOWの作成などは、プロジェクトの成功に直結します。試験対策として、具体的な事例を基に理解を深め、適切なツールの選択ができるようにしましょう。