10.1. 調達の対象群が含むプロセス

1. 概要

 プロジェクトの調達とは、プロジェクトの成功に必要な製品、サービス、成果物を外部から調達し、供給者との関係を適切に管理するプロセスです。プロジェクトの規模が大きくなるほど、自社だけでは必要なリソースを確保できず、外部調達の重要性が増します。

 「調達の対象群が含むプロセス」では、以下の3つのプロセスを理解することが求められます。

  • 調達の計画:調達の対象を特定し、調達方法を決定する
  • 供給者の選定:適切な供給者を選び、契約を締結する
  • 調達の運営管理:契約に基づき、供給者の業務を監督し、調達を適切に進行させる

 これらのプロセスを適切に実施することで、コスト、品質、納期を最適化し、プロジェクトの成功率を高めることができます。

2. 詳細説明

2.1 調達の計画

   調達の計画では、プロジェクトに必要なリソースのうち、外部から調達すべきものを特定し、最適な調達方法を決定します。

(1) 調達の対象

 調達の対象となるものには、以下のようなものがあります。

調達対象具体例
製品ハードウェア(サーバー、PC)、ソフトウェアライセンス
サービスクラウドサービス、コンサルティング、システム開発
成果物外部企業が作成したレポート、データ解析結果

表1:調達対象の具体例表

(2) 調達方式の決定

  • 購入:一括で購入し、所有権を得る(例:サーバー機器の購入)
  • リース:一定期間借りることで初期コストを抑える(例:業務用ソフトウェアのライセンス契約)
  • アウトソーシング:特定の業務を外部企業に委託する(例:システム開発の外部委託)

2.2 供給者の選定

   供給者の選定では、調達計画に基づき、最適な供給者を選び、契約を締結します。

(1) 供給者の評価

 供給者を選定する際には、以下のような評価基準を考慮します。

評価基準具体例
コスト提案価格が予算内か
品質供給者の技術力、納品実績
納期プロジェクトのスケジュールに間に合うか
リスク供給者の経営状況、契約違反のリスク

表2:供給者の評価基準表

2.3 調達の運営管理

   調達の運営管理では、契約に基づいて供給者との関係を適切に管理し、調達プロセスを円滑に進めます。

(1) 品質管理

 納品物が契約通りの品質を満たしているかを検証し、不具合があれば供給者に修正を求めます。

(2) 進捗管理

 納品スケジュールを確認し、供給者が予定通り業務を進めているかを管理します。

3. 応用例

3.1 ソフトウェア開発プロジェクト

 クラウドサービスを活用するプロジェクトにおいて、以下のような調達プロセスが適用されます。

  1. 調達の計画:開発に必要なクラウドサービスを選定
  2. 供給者の選定:複数のベンダーの価格・機能を比較し、最適な供給者を決定
  3. 調達の運営管理:契約後、SLA(サービスレベル契約)に基づき、クラウドの運用状況を監視

3.2 ITインフラ構築プロジェクト

  1. 調達の計画:新しいデータセンターの構築に必要なサーバー、ネットワーク機器を選定
  2. 供給者の選定:価格・納期・品質を考慮し、ハードウェアメーカーを選定
  3. 調達の運営管理:納期遅延のリスクを管理し、追加発注の可能性も考慮

4. 例題

例題1: 調達の計画

問題:
 プロジェクトで外部のクラウドストレージサービスを利用する場合、調達計画で考慮すべき要素を3つ挙げよ。

  1. コスト(サブスクリプションモデルか従量課金か)
  2. データ保護(バックアップやセキュリティ対策)
  3. サービス品質(可用性、SLAの内容)

例題2: 供給者の選定

問題:
 2社の提案があり、一方は安価だが納期が不安定、もう一方はコストが高いが実績豊富な企業である。どちらを選ぶべきか、理由を述べよ。

 プロジェクトのスケジュール優先度に応じて選択する。納期が厳格であれば実績豊富な企業を、コストが最優先なら安価な企業を選ぶ。

例題3: 調達の運営管理

問題:
 システム開発を外部委託したが、納品物の品質が基準を満たしていない。この場合、プロジェクトマネージャーが取るべき対応を3つ挙げよ。

  1. 契約内容を確認し、品質基準に適合しているかを検証する
  2. 供給者と協議し、修正対応のスケジュールを決定する
  3. プロジェクトの影響を最小限にするため、代替策を検討する

5. まとめ

   プロジェクトの調達では、調達の計画、供給者の選定、調達の運営管理の3つのプロセスを適切に管理することが重要です。試験では、これらの知識を活用し、適切な判断ができることが求められます。