目的とプロセス
時間の対象群には,プロジェクト活動のスケジュールを立て,進捗状況を監視してスケジュールを管理するために必要なプロセスを含む。それらのプロセスの目的,役割,機能,プロセス間の関連などを理解する。
活動の順序付け,活動期間の見積り,スケジュールの作成,スケジュールの管理
1. 概要
プロジェクトの成功には、適切な時間管理が不可欠です。時間管理プロセスには、プロジェクト活動のスケジュールを立案し、進捗状況を監視して管理するための重要な手法が含まれています。具体的には、活動の順序付け、活動期間の見積り、スケジュールの作成、スケジュールの管理という4つの主要プロセスで構成されています。
1.1. 時間管理の重要性
プロジェクトの納期遅延は、コストの増大やステークホルダーの信頼低下につながる重大なリスクとなります。そのため、適切な時間管理プロセスを実施することは、プロジェクトマネジメントの成功に直結する重要な要素です。特に、時間管理はプロジェクトリスク管理とも密接に関連しており、リスク回避や軽減にも貢献します。
2. 詳細説明
2.1. 活動の順序付け
プロジェクト活動間の論理的な依存関係を特定し、適切な実施順序を決定するプロセスです。以下の4つの依存関係タイプを考慮します(図1:依存関係タイプの概要を参照):
- 終了-開始(FS):先行作業が終了後に後続作業を開始
- 開始-開始(SS):先行作業の開始と同時に後続作業を開始
- 終了-終了(FF):両作業が同時に終了
- 開始-終了(SF):先行作業の開始後に後続作業が終了
gantt title 依存関係タイプの概要 dateFormat YYYY-MM-DD axisFormat %d日 section 終了-開始(FS) 先行作業 :a1, 2024-01-01, 5d 後続作業 :a2, after a1, 5d section 開始-開始(SS) 先行作業 :b1, 2024-01-15, 5d 後続作業 :b2, 2024-01-15, 5d section 終了-終了(FF) 先行作業 :c1, 2024-02-01, 5d 後続作業 :c2, 2024-02-01, 5d section 開始-終了(SF) 先行作業 :d1, 2024-02-15, 5d 後続作業 :d2, 2024-02-15, 3d
図1:依存関係タイプの概要
2.2. 活動期間の見積り
各プロジェクト活動の所要時間を見積るプロセスです。見積りの際には、次の手法を適用します:
- 類推見積り:過去の類似プロジェクトの実績を参考にする
- パラメトリック見積り:定量的なパラメータを用いる
- 三点見積り:最悪値、最良値、最可能値から期待値を算出する
また、リスクに備えたバッファ期間の設定(コンティンジェンシーリザーブ、マネジメントリザーブ)も重要です。
2.3. スケジュールの作成
活動の順序と期間見積りを基に、プロジェクト全体のスケジュールを策定します。主な手法は以下の通りです:
- クリティカルパス法(CPM):重要な経路を特定し、全体の所要時間を算出
- PERT(Program Evaluation and Review Technique):不確実性を考慮した統計的手法
- ガントチャート作成:視覚的にスケジュールを管理
図2:ガントチャート例で視覚的なスケジュール管理のイメージを確認してください。
gantt title システム開発プロジェクトのガントチャート dateFormat YYYY-MM-DD axisFormat %m月 section フェーズ1 要件定義 :active, req, 2024-01-01, 20d 基本設計 :des1, after req, 30d section フェーズ2 詳細設計 :des2, after des1, 40d 実装 :dev, after des2, 50d section フェーズ3 テスト :test, after dev, 30d milestone 要件確定 :milestone, m1, after req, 0d milestone 設計完了 :milestone, m2, after des2, 0d milestone リリース :milestone, m3, after test, 0d
図2:ガントチャート例
2.4. スケジュールの管理
進捗状況を監視し、必要に応じてスケジュールを修正するプロセスです。具体的な手法として以下があります:
- 実績値の測定とベースラインとの比較
- スケジュール差異分析
- 是正処置の実施
また、進捗管理ツール(例:バーンダウンチャートやカンバンボード)の活用も効果的です(図3:バーンダウンチャート例を参照)。
図3:バーンダウンチャート例
3. 応用例
3.1. システム開発プロジェクトでの適用
要件定義→基本設計→詳細設計→実装→テストという工程での具体的な適用例:
- 工程間の依存関係の明確化
- 各工程の期間見積り
- マイルストーンの設定
- 進捗報告会議の定期開催
3.2. アジャイル開発での適用
スプリント計画での活用:
- イテレーション期間の設定
- ストーリーポイントによる作業量見積り
- デイリースクラムでの進捗管理
- バーンダウンチャートによる残作業量の可視化
4. 例題
例題1
問題:あるシステム開発プロジェクトで、以下の作業がある:
- 要件定義(20日)
- 基本設計(30日)
- 詳細設計(40日)
- 実装(50日)
- テスト(30日)
これらの作業には終了-開始の依存関係があるとき、プロジェクトの最短所要期間を求めよ。
各作業を直列に実施する必要があるため、 20 + 30 + 40 + 50 + 30 = 170日が最短所要期間となる。
例題2
問題:ある作業の三点見積りが以下の通りである:
- 最悪値(P):12日
- 最可能値(M):8日
- 最良値(O):6日
期待値を求めよ。
期待値の計算式 (P + 4M + O) ÷ 6 を使用すると、 (12 + 4×8 + 6) ÷ 6 = 50 ÷ 6 ≒ 8.3日
5. まとめ
プロジェクトの時間管理プロセスは、以下の4つの主要プロセスで構成されています:
- 活動の順序付け:作業間の依存関係を明確化
- 活動期間の見積り:各作業の所要時間を算出
- スケジュールの作成:全体計画の策定
- スケジュールの管理:進捗監視と是正処置
これらのプロセスを適切に実施することで、プロジェクトの時間管理を効果的に行うことができます。特に、各プロセスの相互関連性を理解し、プロジェクト全体を通して一貫した管理を行うことが重要です。