ASCII

1. ASCIIコードとは？

1.1 基本概念

　ASCIIコード（アスキーコード）は、コンピュータが文字を扱うための最も基本的な「約束事」です。例えば、私たちが「A」という文字を入力すると、コンピュータ内部では「65」（16進数では41）という数値として処理されます。これは、ちょうど暗号表のように、「文字」と「数値」を対応させる仕組みです。

1.2 なぜASCIIコードが必要なのか？

　コンピュータは内部ではすべてを2進数（0と1）で処理します。例えば：

キーボードで「A」を入力 → コンピュータは「65」(01000001)として認識
プログラムで処理 → 画面に「A」として表示

　この「翻訳表」としてのASCIIコードがなければ、文字の取り扱いが統一されず、コンピュータ間での文字のやり取りができません。

2. ASCIIコードの構造

2.1 基本構成

7ビットで表現（0-127までの数値）
大きく3つのグループに分類：

制御文字（0-31）：目に見えない特殊な命令
印字可能文字（32-126）：画面に表示できる文字
削除文字（127）：特殊な制御文字

2.2 重要な規則性

大文字のA (65, 0x41)
小文字のa (97, 0x61)
→ 32（0x20）の差がある

　これは１例ですが、このような規則性を覚えておくと、プログラミングで役立ちます。

3. 実践的な活用例

3.1 文字の大文字・小文字変換

# Pythonでの例
def to_upper(char):
    ascii_code = ord(char)  # 文字をASCIIコードに変換
    if 97 <= ascii_code <= 122:  # 小文字の範囲
        return chr(ascii_code - 32)  # 32を引いて大文字に
    return char

print(to_upper('a'))  # 出力: A

3.2 文字列の入力チェック

// JavaScriptでの例
function isAlphanumeric(str) {
    return str.split('').every(char => {
        let code = char.charCodeAt(0);
        return (
            (48 <= code && code <= 57) ||  // 数字
            (65 <= code && code <= 90) ||  // 大文字
            (97 <= code && code <= 122)    // 小文字
        );
    });
}

3.3 よく使う制御文字

改行文字（LF: 10, CR: 13）

  # Windowsとの互換性を考慮した改行
  text = "Hello\r\nWorld"  # \r\n = CR+LF

空白文字（Space: 32, Tab: 9）

  # インデントの処理
  indent = "\t"  # タブ文字（ASCII: 9）

4. 実務でよく遭遇する場面

4.1 文字化けのデバッグ

# 文字列の内容を16進数で確認
def debug_string(text):
    return ' '.join(hex(ord(c))[2:] for c in text)

print(debug_string("Hello"))  # 48 65 6c 6c 6f

4.2 ファイル処理での注意点

テキストファイルの改行コード
バイナリファイルの先頭への制御文字の混入
CSVファイルでの区切り文字の扱い

コード表例

　コード表例ではHEX表示を横軸が上位、縦軸が下位となります。HEXの41は横軸0x4_で縦軸_x1となり’A’を指しています。同様に5Aであれば’Z’を、3Fであれば’？’を指します。

ASCII コードマトリックス表

横軸は上位3ビット（0-7）、縦軸は下位4ビット（0-15）を表します。
各セルには文字とそのコードが表示されています。

	000 0x0_	001 0x1_	010 0x2_	011 0x3_	100 0x4_	101 0x5_	110 0x6_	111 0x7_
0000 _x0	NUL 00	DLE 10	SP 20	0 30	@ 40	P 50	` 60	p 70
0001 _x1	SOH 01	DC1 11	! 21	1 31	A 41	Q 51	a 61	q 71
0010 _x2	STX 02	DC2 12	“ 22	2 32	B 42	R 52	b 62	r 72
0011 _x3	ETX 03	DC3 13	# 23	3 33	C 43	S 53	c 63	s 73
0100 _x4	EOT 04	DC4 14	$ 24	4 34	D 44	T 54	d 64	t 74
0101 _x5	ENQ 05	NAK 15	% 25	5 35	E 45	U 55	e 65	u 75
0110 _x6	ACK 06	SYN 16	& 26	6 36	F 46	V 56	f 66	v 76
0111 _x7	BEL 07	ETB 17	‘ 27	7 37	G 47	W 57	g 67	w 77
1000 _x8	BS 08	CAN 18	( 28	8 38	H 48	X 58	h 68	x 78
1001 _x9	HT 09	EM 19	) 29	9 39	I 49	Y 59	i 69	y 79
1010 _xA	LF 0A	SUB 1A	* 2A	: 3A	J 4A	Z 5A	j 6A	z 7A
1011 _xB	VT 0B	ESC 1B	+ 2B	; 3B	K 4B	[ 5B	k 6B	{ 7B
1100 _xC	FF 0C	FS 1C	, 2C	< 3C	L 4C	\ 5C	l 6C	\| 7C
1101 _xD	CR 0D	GS 1D	– 2D	= 3D	M 4D	] 5D	m 6D	} 7D
1110 _xE	SO 0E	RS 1E	. 2E	> 3E	N 4E	^ 5E	n 6E	~ 7E
1111 _xF	SI 0F	US 1F	/ 2F	? 3F	O 4F	_ 5F	o 6F	DEL 7F