2.6. 記憶媒体の種類と特徴

1. 概要

 リムーバブルメディアは、コンピュータシステムから取り外し可能な記憶媒体のことを指します。これらのメディアは、データの可搬性、バックアップ、セキュリティ、そして大容量データの転送において重要な役割を果たしています。応用情報処理技術者試験では、これらの媒体の特性と用途を理解することが求められます。

2. 詳細説明

2.1. リムーバブルメディアの分類

リムーバブルメディアは、主に以下の3つのタイプに分類されます:

2.1.1. 読出し専用型

 データの書き込みが1回のみ可能で、それ以降は読み取りのみが可能なメディアです。

  • 例:CD-ROM、DVD-ROM

2.1.2. 追記型

 既存のデータを消去せずに、新しいデータを追加で書き込むことができるメディアです。

  • 例:CD-R、DVD-R

2.1.3. 書換型

 データの書き込み、消去、再書き込みが可能なメディアです。

  • 例:DVD-RAM、ブルーレイディスク(BD-RE)、フラッシュメモリ

2.2. 主要なリムーバブルメディアの特徴

2.2.1. 光ディスク

  1. CD(Compact Disc)
  • CD-ROM:読出し専用、容量約650-700MB
  • CD-R:追記型、容量約650-700MB
  1. DVD(Digital Versatile Disc)
  • DVD-ROM:読出し専用、容量4.7GB-17GB
  • DVD-RAM:書換型、容量4.7GB-9.4GB
  • DVD-R:追記型、容量4.7GB
  1. ブルーレイディスク
  • 容量25GB-100GB以上
  • 高精細動画の保存に適している

2.2.2. 半導体ディスク

  1. フラッシュメモリ
  • USBメモリ:容量数GB-1TB以上、高可搬性
  • SDカード:容量数GB-1TB以上、主にモバイルデバイスで使用
  1. SSD(ソリッドステートドライブ)
  • 容量数百GB-数TB
  • 高速な読み書き、低消費電力

2.2.3. 磁気テープ

  1. ストリーマ
  • 大容量バックアップに適している
  • シーケンシャルアクセス
  1. DAT(Digital Audio Tape)
  • デジタル音声記録用に開発されたが、データバックアップにも使用

2.2.4. その他

  1. ハードディスク
  • 外付けタイプはリムーバブルメディアとして使用可能
  • 容量数TB以上
  1. RAMファイル
  • 揮発性メモリを利用した高速アクセス可能な一時的な記憶領域

3. 応用例

3.1. データバックアップ

 企業や個人のデータバックアップには、大容量の外付けハードディスクやBDが使用されます。重要なデータは複数のメディアに保存し、オフサイトでも保管することが推奨されます。

3.2. データ転送

 大容量のデータ転送には、USBメモリやSDカードが広く使用されています。特に、ネットワーク環境が整っていない場合や、セキュリティ上の理由でネットワーク転送が望ましくない場合に有効です。

3.3. アーカイブ

 長期保存が必要なデータには、光ディスクや磁気テープが使用されます。特に、法的な要件で長期保存が義務付けられている文書などのアーカイブに適しています。

3.4. モバイルデバイスでの使用

 スマートフォンやデジタルカメラなどのモバイルデバイスでは、SDカードが追加のストレージとして広く使用されています。

4. 例題

例題1

Q: 以下のリムーバブルメディアのうち、書換型でないものはどれか。
a) DVD-RAM
b) CD-R
c) ブルーレイディスク(BD-RE)
d) SDカード

A: 正解は b) CD-R
解説:CD-Rは追記型のメディアで、一度書き込んだデータは消去や上書きができません。他の選択肢はすべて書換型のメディアです。

例題2

Q: 次の記述のうち、正しいものはどれか。
a) USBメモリは磁気記録方式を採用している。
b) DVD-ROMは追記型のメディアである。
c) SSDは従来のハードディスクと比べて高速だが、容量あたりのコストが高い。
d) ストリーマは、ランダムアクセスが高速なため、データベースの運用に適している。

A: 正解は c) SSDは従来のハードディスクと比べて高速だが、容量あたりのコストが高い。
解説:
a) USBメモリは半導体メモリ(フラッシュメモリ)を使用しており、磁気記録方式ではありません。
b) DVD-ROMは読出し専用型のメディアです。
c) 正しい記述です。SSDは高速ですが、同容量のHDDと比べてコストが高くなります。
d) ストリーマはシーケンシャルアクセスのため、ランダムアクセスは遅く、データベース運用には適していません。

5. まとめ

 リムーバブルメディアは、その特性に応じて様々な用途で使用されています。主な特徴は以下の通りです:

  1. 読出し専用型、追記型、書換型の3種類があり、用途に応じて選択します。
  2. 光ディスク、半導体ディスク、磁気テープなど、様々な技術が使用されています。
  3. 記録容量、可搬性、アクセス速度、コストなどの特性が異なるため、目的に応じて適切なメディアを選択することが重要です。
  4. データのバックアップ、転送、アーカイブなど、幅広い用途で活用されています。  応用情報処理技術者として、これらのメディアの特性を理解し、適切な選択と運用ができることが求められます。