1.1.1. 集中処理システム

1. 概要

 集中処理システムは、コンピュータシステムの処理形態の一つであり、データ処理やサービス提供を中央のコンピュータに集中させて行う方式です。この方式は、企業や組織の情報システムの基盤として長年使用されてきました。集中処理システムの理解は、システム設計や運用管理において重要な知識となります。

2. 詳細説明

2.1. 集中処理システムの仕組み

 集中処理システムでは、以下の要素が中心的な役割を果たします:

  • 中央処理装置(CPU):データ処理の中枢
  • 大容量記憶装置:データやプログラムの保存
  • 端末:ユーザーとシステムのインターフェース  これらの要素が一箇所に集中配置され、中央のコンピュータが全ての処理を担当します。

2.2. 集中処理システムの特徴

  • 集中管理:データとリソースを一元管理できる
  • 高いセキュリティ:中央で一括してセキュリティ対策を実施可能
  • スケールメリット:大規模な処理に適している
  • コスト性能比:集中化によりハードウェアの利用効率が向上し、コスト性能比が改善される
  • 保守要員の集中化:集中管理により、保守作業を効率的に行える

3. 応用例

3.1. 金融機関のシステム

 銀行の勘定系システムなど、高いセキュリティと信頼性が求められる分野で広く採用されています。

3.2. 大規模企業の基幹システム

 在庫管理や会計処理など、企業の中核業務を支えるシステムとして利用されています。

3.3. 政府機関のデータベースシステム

 住民情報や税務情報など、大量のデータを安全に管理・処理するために活用されています。

4. 例題

例題1

Q: 集中処理システムの特徴として、適切でないものはどれか。
a) データの一元管理が容易である
b) システムの拡張性が高い
c) 障害時の影響が局所的である
d) セキュリティ管理が容易である

A: 正解は c) です。集中処理システムは、中央のコンピュータに処理が集中しているため、障害が発生した場合、システム全体に影響が及ぶ可能性が高くなります。

例題2

Q: 集中処理システムにおいて、コスト性能比が向上する理由として最も適切なものは次のうちどれか。
a) ネットワーク帯域の効率的な利用
b) ハードウェアリソースの集中による利用効率の向上
c) ソフトウェアライセンスの削減
d) 電力消費の最適化

A: 正解は b) です。集中処理システムでは、ハードウェアリソースを集中配置することで、その利用効率が向上し、結果としてコスト性能比が改善されます。

5. まとめ

 集中処理システムは、データ処理やサービス提供を中央のコンピュータに集中させる方式です。その特徴として、データの一元管理、高いセキュリティ、コスト性能比の向上、保守要員の集中化などが挙げられます。金融機関や大規模企業の基幹システムなど、高い信頼性と処理能力が求められる分野で広く採用されています。ただし、システム全体の可用性に注意を払う必要があります。